日本で人口減が始まって約20年。地方自治体は人口流出をくいとめようと対策を打ち出すものの効果は薄い。全国より10年早く人口が減り始めた北海道で「地方はなぜ女性に選ばれないのか」という問いをたてた専門家がいる。北海道総合研究調査会の五十嵐智嘉子理事長だ。参院選を前にその真意を尋ねた。
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日本は2008年をピークに人口減が始まりました。それから約20年。いまやほとんどの市町村で、死亡数が出生数を上回っています。
全国より早く1998年に人口減が始まった北海道では、様々な影響が出ています。特に医療介護分野では大きく、例えば、特別養護老人ホームは入居者減と職員不足で経営が厳しくなっているところも多い。病院やスーパーも似たような構図です。住民の日常生活を支えるサービス基盤が少しずつ弱体化しているのです。
教育や医療介護、買い物といった生活サービスの機能を地域で守るため、合併ではなく、市町村の枠を超えた広域の枠組みが必要です。自治体でうまく調整できない場合は、北海道が調整に入ることが求められると思います。
人口が減る一方で、地域の課…